この恋心に嘘をつく

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「つ、疲れた…」


自分デスクに突っ伏し、今日一日を振り返る。

ほとんど立ちっぱなしで、いろいろと注意も受けた。


『丁寧な言葉は、基本中の基本です。丁寧に言おうと思いすぎて、敬語を二重で使っては本末転倒です』

『お茶を出すときにも、きちんとマナーがあります。出す際の一言、席次順を考えて出す事、左側に菓子、右側にお茶。よろしいですね?』

『お辞儀も使い分けなくては。頭を下げれば良いと言うわけではありません。お礼やお詫びをする時は、45度。――やってみて』


覚えることが多すぎて、頭がパニックを起こしそう。

観月も言っていたが、ここまで詰め込んで教えることはあまりしないらしい。

ただ、凛子の研修期間は1ヶ月と短いため、急ぎ足で教えているとのことだ。


「こっちは、取引先のファイル。これは、電話⚫接客の対応マニュアルで…」


なるべく早く覚えるように言われたが、果たしてどこまで詰め込めるか――。


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