この恋心に嘘をつく

「まぁ、私としては早く身を固めてもらいたい所だな」


3人の息子は、揃って独身だ。
急かすつもりはないが、やはり結婚してくれた方が安心する。


「一番可能性があるのは、環兄さんだろ?」


恭介の意味ありげな視線に、環は気にした様子もない。


「独身よりは、既婚者の方がいいだろう。後々を、考えれば」


辰馬の言葉で、全員の空気が一瞬にして張り詰める。

郁子と視線が合い、環はそっと目を伏せた。




*****


「明日から、専務付きとなります。良いですね」

「はい」


1ヶ月の研修期間は、あっという間に終わった。
未だに不安はあるけれど、基本的な事は学んだはずだ。


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