この恋心に嘘をつく
雪に白鷺
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専務付きとなった初日。
はじめて、専務室のドアの前に立った。
1か月前、凛子は観月と約束していた。
研修期間の間は、専務室には行かない、と。
けじめというものは、どんな形であれ必要だ。
研修に集中するため、不必要なものはすべて取り除いた。
「ふぅ…」
落ち着くため、深呼吸を繰り返す。
――コンコンコン
3回のノックの後、“どうぞ”と声が返ってきた。
「失礼します」
はじめて入る専務室は、とても広い。
敷き詰められた絨毯に、総ガラス。
その威圧感に、さすがに緊張してしまう。
「今日から専務付きとなります。どうぞ、よろしくお願いします」
お辞儀をすれば、環は微笑んで立ち上がる。