今日こそ絶対に自殺します。
「えっと……」
今はとぼけるしかない。
そしてこのチンチクリンが去って行くのを待つしかない。
「―――あれ?」
てかそもそも、なんでこのチンチクリンはこんな荒れ地に一人で来てるんだ?
どう考えても危ねえだろ!!!
「ねえ、君」
「なーに?」
「あの…お父さんとお母さんは…?」
「お父さんはずっと前に出て行って、お母さんは部屋に閉じこもってるよー」
「………」
ものすごく触れちゃいけない家庭事情じゃねーか!!
くっそヘビーだな!!
「そ、そうなんだ…」
大変な家庭事情を耳にしてしまうと、どうにかしてあげたくなってしまう私。
今すぐにでも自殺を実行してしまいたいものの……
まあここはやっぱり善の数を極力増やしてから死のう。
「…じゃあ、荒れ地の出口まで一緒に行ってあげるから、その後は自分でおうちに帰るんだよ?」
私の言葉に目をキラキラさせるチンチクリン。
「ありがとうお姉ちゃん!!」
―――しばらくして、
「お姉ちゃんここまでだから…
気をつけて帰るんだよ?(ヘビーな家庭の)おうちまで」
「うん!ありがとう!」
荒れ地の出口までたどり着くと、私は目の前のチンチクリンを送り出した。
まっすぐで健気な後ろ姿がどんどん離れてゆく。
「元気でね、チンチクリン」
お前は私みたいになっちゃだめだぞ?
どんなにお父さんが帰ってこなくても、どんなにお母さんが部屋から出てこなくても……
お前は強く生きるんだぞ―――?