今日こそ絶対に自殺します。
「―――あ、幸次!!」
「ん?」
ふと、振り向き際に背後から違う男の子の声が聞こえてきた。
「陽太お兄ちゃーん!」
「もうどこ行ってたんだよー!心配したんだからなー!」
「ごめんなさーい」
どうやらお兄ちゃんが迎えに来たようだった。
お兄ちゃんの方は見た感じだと小学3、4年生くらい。
弟のことを心配そうな、はたまたちょっと怒っているような顔で見つめている。
「今度から勝手にどっか行かないでね!?」
「はぁーい」
―――なんだ。
しっかり者のお兄ちゃんがいて、チンチクリン坊主は幸せじゃないか。
よかったじゃんか―――
兄ちゃんの方も絶対弟を見捨てるんじゃないぞ?
世界に一つだけの弟を、絶対に手放すんじゃないぞ?
もし手放したら私がくじら公園に化けて出て、お前を食っちまうからな?
※ありえません。
―――仲良くね、
そして幸せにね………
私は今度こそ、自殺場所に戻ろうとした。
「おーう!陽太!幸次!!
お前らどこに行ってたんだぁー!?」
―――え?
なにこの、聞き覚えのある声…
まさか―――
私は恐る恐る振り返った。
「あ、パピヨンさん!」
「パピヨーン!」
「ったくー!ほんと世話が焼けるガキたちだなぁーもうっ!はやくこっちこーいっ!」
女の子を両手に、赤ん坊を背中に、こちらに向かってきたのは
―――やつ(パピヨン)だった。