今日こそ絶対に自殺します。
どうしてそこまでしてアップルパイを作る!?
お前は小麦粉がダメ、私はリンゴがダメ。
もう完全に終わってんじゃんか!!!
「…アップルパイじゃなくても…
いいじゃないですか」
「え?」
「ほらー、
もっと簡単で小麦粉を使わないやつとか……」
私がそう言うと、パピヨンは下を向いた。
そして少し笑みを浮かべながら、口を開いた。
「どうしてもアップルパイじゃなくちゃダメなんだ。…アップルパイはこの子たちの兄ちゃんの大好物だからーーー」
ーーーえ、兄ちゃん?
パピヨンの話によると、どうやらこの子たちは全員合わせて5男3女の大家族らしい。
ーーーだけど、
父親は家を出て行き、母親は部屋に引きこもり状態。
そんな中たった一人で支えたのが一番上のお兄ちゃんだった。
只今そのお兄ちゃんは心身共に療養中。
パピヨンは取り残された子供たちを保護し、抱えた借金をすべて返済したらしい。
「今日はお兄ちゃんの誕生日なの!!」
1人の子供が口を開いた。
「僕たちね、お兄ちゃんの大好きなアップルパイをプレゼントしたいの!!」
目をうるうるさせながら、私を見つめてくる子供たち。
「お姉ちゃんお願い!!
一緒に作るの手伝ってぇー!!」
「お願いお姉ちゃん!!
兄ちゃんにプレゼントしたいんだ!!」