今日こそ絶対に自殺します。
ーーーポロ…
アップルパイを口に入れた瞬間、ウツボの目から一粒の涙がこぼれた。
まるで我慢に我慢を重ねて搾り取られたような
大粒の涙ーーー
「……グスッ…」
鼻をすすりながらアップルパイを噛み締めていく。
噛みしめるたびに、ウツボの涙はどんどん溢れて頬を伝ってゆくーーー
「……おいしく…なかった?」
ウツボの涙を見て、子供たちはたちまち不安そうな表情を浮かべた。
ウツボは顔を上げて子供たちを見ると、たちまち笑顔を作った。
「ーーーううん……
…すっごく、おいしい………」
……ありがとう。
……ありがとう。
……ありがとう。
アップルパイを食べながら、ウツボは何度も何度もお礼の言葉を呟いていた。
そしてそのたびに涙がポロッポロッと溢れてゆく。
「ーーーよかったな…ウツボ」
ふと、私の隣でパピヨンが呟いた。
パピヨンの目は、まるで自分の子供でも見つめているかのように優しく、穏やかだった。