今日こそ絶対に自殺します。
ーーー大会当日。
「兄貴、頑張ってください!」
「俺ら応援してますから!!」
「ーーーおう、ありがとな」
後輩の声援を背に、俺はリングへと上がった。
戦いのサポートをするのはーーー
もちろん俺の親父。
「星二、お前もう引退しろ」
「…!?」
それは先月のことだった。
自分の部屋で筋トレをしていた俺に、親父は急にそう言ってきたのだ。
「28にもなって、バイトと練習ばかりをしているんだったら職についた方がいい。
もう諦めろ、星二」
俺は目を丸くした。
親父から『諦めろ』と言われたのが、本当に初めてだったからだ。
ーーーだけど俺は、
「俺は諦めねーぞ、親父」
親父の目をまっすぐに見つめてそう言った。
「ったく…いつまで経ってもガキみたいなバカ息子だな」
親父はそう言ってはいたものの、口元は微笑んでいた。
「お前がそう言うんだったら諦めるんじゃない。絶対になーーー」