今日こそ絶対に自殺します。






結局、その日あったことは試合中の事故とみなされて、俺自身が罪に問われることはなかった。



だけど、人の命を奪っておきながらもなんの罪も負わされない自分自身に、俺はものすごく罪悪感を感じていたんだ。




かわれるもんならかわってやりたい。



あの選手じゃなくて、


俺が死ねばよかったんだーーー








「ーーー申し訳ございませんでした!」



それから俺は、親父と一緒に毎日毎日相手選手の家族の元に謝りにいった。



「何度謝っても無駄ですよ!
息子は帰ってこないんですから!!
息子の命を奪ったことをそんな簡単な謝罪で済まそうなんて、あなたは人間として間違ってますよ!!!」




毎回毎回、相手選手の母親は狂ったように俺たちに怒鳴り散らしてきた。



「もう帰って下さい!!
二度と来ないで!!!」










ーーーここは地獄なんじゃないかと思った。



相手選手の家族からは怒鳴り散らされ、ボクシング界では人殺しと呼ばれ、後輩として慕ってきたやつらには見離され、


ーーー親父は過度のストレスで倒れた。





こんな地獄から抜け出せるなら、行き先はどこでもいいと思った。



だけどーーー


俺が犯してしまった罪を背中から降ろすことは、絶対に許されなかった。



いや、許されなかったんじゃない。





「うぅ……グスッ……」





俺自身が許さなかったんだーーー






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