今日こそ絶対に自殺します。
「はぁ……?」
俺はぽかんと口を開けたまま男を見つめた。
手合わせを願うって、一体こいつは何を考えてるんだ…?
「いつも通り、本気でかかってもらって結構です!俺もそこそこ強い自信があるので!」
男はルンルンとボクサーステップを始める。
「はやくやりましょうよ!!」
ちっ…やっちまったな。
俺はボクシングと言ったことを後悔した。
やっぱりどんなやつにでも軽々しく嘘を口にするもんじゃない。
ステップを踏む男を見つめながら俺は言った。
「ーーー俺はやらない」
途端に男は悲しそうな顔をした。
「えー!やらないんですかぁー!?
そんなのつまんないですよー!!」
何がつまらないだ。
俺には俺なりの事情ってもんがあるんだ。
「じゃあな」
俺はそう言ってその場から立ち去ろうとした。
ーーーもう、これ以上握れない拳を握るのはごめんだ……