今日こそ絶対に自殺します。






ーーーなんでだよ…!!!



とうとう涙が出てきた。



こんな情けない状況に陥れられても、俺の拳は言うことを聞かないのだ。



「ちくしょう、ちくしょう…!!!」



何度も何度も地面に右腕を叩きつけた。



力が入らない拳。


力を入れられなくなってしまった弱い自分。




「うああああああ!!!」



拳も俺も消えちまえばいいんだ…!!!











「…知ってますか?」



ふと、目の前の男が口を開いた。


息はすでに整っている。



「人は誰でもどん底から這い上がれます。
どんなに苦しくても、どんなに時間がかかっても、絶対に這い上がれるんです。
ーーーでも、這い上がるには一つだけ持たなくちゃいけないものがあるんですよ」




男は俺に近づいてくると目の前にしゃがんだ。



「それが何か、あなたは知ってますか?」









ーーー持たなくちゃ、いけないもの…



俺は考えた。


格闘技のことしか考えてこなかった頭をひたすらひねくり返した。



ーーー持たなくちゃいけないもの。


なんなんだ、それは……





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