今日こそ絶対に自殺します。
俺は再び自分の右手を見つめた。
叩きつけたことによってボロボロになった俺の右手。
そしてーーー
「………っ!!」
再び拳を作ろうと力を入れた。
ーーー途端に右手は震えが止まらなくなる。
『這い上がろうとする勇気です』
「っ!!!!!」
俺は震える手にそのまま力を入れ続けた。
壊れたっていい、どんなに弱々しい拳になってもいい。
だからーーー
頼むから俺に勇気をくれ……!!!!!
ガシッ
「!!!」
ほんの一瞬の出来事だった。
俺の右手は……やっと拳になった。
………よ、よし!!!
震えが止まらず、今すぐにでも崩れてしまいそうな拳。
だけど、俺にはこの拳が自分自身の最大の『勇気』の塊に見えた。
「ぶち込んで下さい」
ふと、男が口を開いた。
「その『勇気』を、俺に思いっきりぶち込んで下さい!!!」
「っ……」
怖くなかったと言ったら嘘になる。
拳を作ったものの、目の前の男にパンチを食らわせることは、俺にとって最大の恐怖だった。
「大丈夫です、俺は絶対に死にませんから」
腕を真横に広げ、真剣な表情で俺を見つめてくる男の顔はもうアホ面なんかじゃなかった。
強い意志を秘めているようなーーー立派な青年の顔つきだった。