今日こそ絶対に自殺します。
「いってぇー!!!!!」
俺のパンチで倒れた男は、自分の鼻をおさえて足をバタバタさせた。
「うわー死ななかったけど、これまじで死ぬほどいてぇー!!!ふぅー!!!!」
……な、なんだこいつ。
さっきの立派な顔つきは錯覚だったのか?
俺は男に近づくと、自分の右腕を差し出した。
「悪かった、大丈夫か?」
男は目をパチクリさせながら俺の右腕を見つめると、にっこり笑った。
「ーーーはい。
あなたの右手もこれで大丈夫ですね」
「…っ!」
男は俺の右手をガシッと掴むと、ピョンと立ち上がった。
「よーし、今は夜の8時…
公園近くのカフェは9時までやってるからーうん!!まだやってるな!!」
腕時計を見ながら独り言のようにしゃべる男。
ーーーなに言ってんだ?こいつ…
男は腕時計から視線を俺に変えると、悪戯っぽく笑って見せた。
「ちょっとそこらで、お茶しませんか?」