今日こそ絶対に自殺します。
「はい、どうぞ」
ニオさんに写真たてごと渡され、私はその中を覗いた。
それはーーー
メガ症の住民とはまた違う、一人の青年の後ろ姿。
深緑色の制服に、短く整えられた黒髪。
胴体の横にダランと伸びている右手には、一枚の紙切れのようなものが握られている。
見た感じだと、おそらく高校生。
「これ、私の初恋の人」
「ええ!?」
ニオさんはウフッと笑うと、写真を覗き込んできた。
「後ろ姿だけど、中々のイケメンでしょ?」
まあ、たしかに……
長身で細身で指も結構長い。
後ろ姿ではあるけどイケメンだ。
「すごく好きだったんだけどね…
振られちゃったわ」
ニオさんの顔は少しだけ悲しそうだった。
私自身、恋をしたことがないからニオさんの気持ちを理解してあげることはできないけど…
「……っ」
ニオさんが今抱えている気持ちが、果てしなく「つらい」ということくらいは分かった。