今日こそ絶対に自殺します。
「もう朝の10時ですよチャンぴかさん!
いつまで寝てるんですかぁ!!」
豆腐ちゃんは呆れ顔をすると、ツインテールの片方をクリクリと指で回した。
「え、試合って何時からなの?」
「10時半からですよ?」
「……え!?10時半!?
あと30分しかないじゃん!!!」
「だからわざわざ会場から迎えに来たんじゃないですかー!!」
豆腐ちゃんは部屋の窓を指すと、私に指図するように言った。
「マッハで準備して下さい!チャンぴかさん!
アパートの外でパピヨンさんがバイクを蒸して待ってますので!!」
え、パピヨンーーー
『ーーー俺は今度も断って欲しくない』
ーーードキッ
ふと、昨日のパピヨンが脳裏に蘇った。
『俺、本当は嫌いなんだよね、ミルクティー』
あの悲しそうな瞳もーーー
「………」
「ーーーちょっと!何ぼーっとしてるんですかチャンぴかさん!!」
「え、あ…!」
「もーう!ぼーっとしている暇があったら顔洗って歯を磨いて鼻をかんで下さい!!」
「あぁ…はいっ!!」
豆腐ちゃんに尻を叩かれるようにして、私は急いで身支度を整えた。
顔を洗って、歯を磨いて、鼻をかんでーーー
「ついてこい、相棒」
夜用の自殺縄をバッグにしまう。
「行きますよー!!」
「うん…!」
私と豆腐ちゃんは飛び出すようにして部屋を出ていったーーー