今日こそ絶対に自殺します。






「ワーーーーー!!」



ふと突然、歓声が湧き始めた。



え、なにごと!?


私は途端に辺りを見回す。






「寺内くぅぅぅーーーん!!」



ん?寺内?




私はリングの上を見上げた。



するとーーーそこには1人の若い少年。



腹筋はバキバキに割れていて、筋肉はキュッと引き締まっている。


冷たい目つきはクールで、応援に来ている女子は目をハートにさせて叫んでいた。



「キャーーー寺内くーーーん!!」


「こっち向いてー寺内くーーーん!!」





ものすごい人気だな…寺内。








「……っ」



ーーーふとその少年は、狂ったように叫び続ける女子の方を向いた。



そしてーーー



プイッ



完全無視。





「ーーーーギァァァアアァァアアア!!!」



さらに湧く女子ども。








寺内くん



モッテモテです。





あーなんかいいなー


無視してもキャーキャー言われるとか、もはや人類の夢。


死ぬ前に一度でいいから私もやられてみたかったなぁー。







ーーーその寺内という少年は、サポーターに肩にかけたタオルを渡すと、体を動かし始めた。



ピョンピョンと跳ねてみたり、首を回してみたりーーー






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