今日こそ絶対に自殺します。
「ーーーいやぁ間に合った」
「っ!!」
ふと隣から声がして、私はすぐに顔を向けた。
そこにはリングをまっすぐに見つめるパピヨン。
「うわ!だ、大丈夫だったんですか!?」
「おーう!うまくまいてきたぜっ!」
パピヨンは自分の右腕をあげると、二の腕をバシバシと叩いた。
「ーーーーー人殺しぃぃぃぃ!!!」
まだ続く誹謗中傷の声に、パピヨンは眉をピクリとさせた。
「いやーこれはすばらしいことになってんなー」
やれやれとした表情を作るパピヨン。
「どうしてこんなに……」
私が呟くと、パピヨンはリング上の兄貴さんを見つめながら話し始めたーーー
「ーーーかつて兄貴は試合中に殺してしまったことがあるんだ。相手選手だった高校生をね。
ーーー今リングにいるもう一人の少年は、その死んでしまった高校生の弟なんだ」
「えっ!?弟…!?」
「ああ。弟はものすごく兄を慕ってたらしい。
だからめちゃくちゃ恨んでんだよ、兄貴を」
そ、そんな……
私はリング上の兄貴さんを見つめた。
堂々としてそうで、実は罪深さでいっぱいになった悲しげな横顔。