今日こそ絶対に自殺します。
赤いシャツを第一ボタンまで閉めると、パピヨンは軽々とリングの上にのぼった。
「遅いぞ、パピヨン」
「すみませんね兄貴」
パピヨンは背伸びをして兄貴の肩にかかったタオルをとった。
そして、兄貴が履いているものに目を向けると、少しだけ微笑むーーー
「ーーーどうですか?海パンの調子は」
兄貴はニヤリと笑った。
「ーーー絶好調だ」
ーーー試合開始間際になると、兄貴と寺内はリングの中央に移動した。
相変わらず寺内は兄貴を睨みつけている。
「ーーーお前のせいで家族は崩壊したんだ」
「…っ」
寺内の言葉に兄貴の表情は険しくなる。
「兄ちゃんの命を奪って、その上家族までも崩壊させといて、よく生きてられんな。
ーーーぶっ殺してやるよ」
寺内は鼻で笑った。
兄貴は唇を噛み締めた後、少しだけ口元を緩ませてゆっくりと顔を上げた。
「ああ、ぶっ殺されようじゃねーか」