今日こそ絶対に自殺します。






赤いシャツを第一ボタンまで閉めると、パピヨンは軽々とリングの上にのぼった。



「遅いぞ、パピヨン」


「すみませんね兄貴」



パピヨンは背伸びをして兄貴の肩にかかったタオルをとった。


そして、兄貴が履いているものに目を向けると、少しだけ微笑むーーー






「ーーーどうですか?海パンの調子は」



兄貴はニヤリと笑った。



「ーーー絶好調だ」










ーーー試合開始間際になると、兄貴と寺内はリングの中央に移動した。



相変わらず寺内は兄貴を睨みつけている。






「ーーーお前のせいで家族は崩壊したんだ」


「…っ」



寺内の言葉に兄貴の表情は険しくなる。



「兄ちゃんの命を奪って、その上家族までも崩壊させといて、よく生きてられんな。

ーーーぶっ殺してやるよ」



寺内は鼻で笑った。



兄貴は唇を噛み締めた後、少しだけ口元を緩ませてゆっくりと顔を上げた。



「ああ、ぶっ殺されようじゃねーか」








< 199 / 326 >

この作品をシェア

pagetop