今日こそ絶対に自殺します。
◆ 6度目の……





◇ ◆ ◇




試合が終わった後、私は1人でこっそり会場を出た。



ーーー自殺用の縄を持って。







「ーースタ、スタ」



すぐ近くのビルに入り、私は屋上へと繋がる階段を一歩ずつ登っている。



ずっと室内にいたから、今度は思いっきり空が見れる場所で死にたいと思ったのだ。





だけどーーー


なんだろう……足が重たい。






ーーーあの後、試合に勝ったのは寺内の方だった。


それもそのはず、兄貴さんは一度も寺内に拳を向けなかったから。



だけど実際、勝利を掴んだのは兄貴さんも一緒だったと思う。



ものすごく幸せそうな顔をしていた。









『這い上がる勇気だーーー』




「っ……」



兄貴さんが寺内に向けて言った言葉が、心の中に引っかかる。






ーーーそういえば私は、ここのとこずっと勇気を出していなかった気がする。



何をやるにしても逃げて、逃げて逃げまくって……そしてたどり着いたのが自殺。




「情けないなぁ…」



そうだ、本当に情けない。



私は情けない自分のまま、自殺をしてしまうんだ。



「……っ」




なんかーーー悔しい。





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