今日こそ絶対に自殺します。
「ね、きれいでしょ?」
パピヨンはそう言うと、またにっこりと笑って見せた。
「人生観ってものはさ、空を見ることと一緒のような気がすんだよね」
「…人生観?」
「ああ。ーーー地球上の『全ての空』が『人生の全て』だとするよ?
視界が限られている俺たちは、空を見上げるときに『全ての空』の一部分しか見ることができない。
だからさ、俺たちはその一部分の空が『全ての空』だって、いつの間にか勘違いしちまうんだよ。
ーーー人生だって全く一緒なんだ。
一部分を見ているくせに、俺たちはそれを『人生の全て』だと勘違いする。
……ほんと不思議だよな。
俺たちはこんなにも広いところにいるのに、なぜか自分で勝手に狭くしちまうーーー」
「……っ」
胸が痛くなった。
確かに、そうなのかもしれないって……
私はきっとその『一部分』を『全て』だと勘違いしてきて人間だ。
だからこうやって自殺に逃げた。
広い世界を見ようともせずにーーー
「ーーーだけどな、チャンぴか。
だからといって、人間はすぐには広い世界を見ることはできないんだよ?」
「え?」
私は思わずパピヨンを見た。
「それはね、『未知の空』や『予想外の空』を見て、傷つくことを恐れているからなんだ。
ーーー何を言いたいか分かる?チャンぴか」
パピヨンは私の方に顔を向けると、優しく微笑んだ。
「人生はそう思い通りにいかないってこと。
恐怖に駆られて自分の視界を狭めたり、殻に閉じこもったりしたいと思ってしまうことは、ごく普通のことだということ。
そしてーーーそんな複雑な世界から逃げずに、毎日何かを掴もうとしている俺たちは、実はすごくタフなんだってことーーー
俺たちは生きてるだけでも、
すげーんだーーー」