今日こそ絶対に自殺します。
「…あれ?チャンぴかじゃん!」
ふと、しゃがみこんでいるパピヨンが私の存在に気づいた。
「うわー!チャンぴかー!!」
途端に寄ってくるパピヨン。
…まずい。
これはどうにかして逃げ出さないと…
「…人違いじゃないですか?」
「え?うそつけ」
「うそじゃありませんよ」
「いーや君はチャンぴかだっ!」
「だから違いますって!」
「そーんなわけない!!
俺チャンぴかの顔しっかり覚えてるもん!」
パピヨンは悪戯っぽく笑うと、カリカリと頭をかいた。
「いやーでもわざわざ会いに来てくれたのか!
俺めっちゃ感動してるよチャンぴかー」
いや、会いにきてねーよ。
たまたま自殺しようとした場所がここだっただけだよ。
「ーーーところでさ、
チャンぴか何してるの?」
ギクッ!
パピヨンは私の格好を上から下まで見ると、不思議そうな顔をした。
「なんか珍しいことしてるな、おいー。
こういうの趣味なの?首吊りごっこ的な」
いや、ごっこじゃなくて本物の首吊りです。
「………」
私はただ黙ることしかできなかった。
こいつに「いいえ本物の首吊りです」とか言ったところでいいことなんて一つもない。
むしろ、また邪魔されるだけだ。
(すでに邪魔されたけど)
「うーんなるほどねぇー、パーリナイねぇー、南無阿弥陀仏ねー」
今のわからない独り言を呟きながら、パピヨンは私をジロジロと見つめてきた。