今日こそ絶対に自殺します。





ーーーそんなあくる日のこと。



受験勉強でイライラしていたのもあったのかもしれない。


私は初めて奴にムカついたのだーーー








「………」


「………」



その日も私たちは黙ってフィルムの整理をしていた。



少しだけ気になって、目の前に座る奴に視線を送ってみても、奴は表情一つ変えずに黙々と作業を続けている。







ーーーこいつ、笑ったことあんのかな。









「ねぇ」


私は奴に声をかけた。



「なんでしょうか」


「……あんたさ、笑ったことあんの?」



私がそう聞くと、奴は少しだけ眉をピクリとさせて、再び手を動かし始めた。



「ーーー知りません」










「ーーーはぁ?」




なんでだろう。


イラっときた。




「なんだし、それ」



私は目の前にあるフィルムを全部床にばら撒くと、バン!と机を叩いて立ち上がった。




「なにあんた!私を馬鹿にしてるわけ!?
あんたに馬鹿にされるなんて100年早いと思うんだけど!!」




私が怒鳴っているのにも関わらず、奴はピクリともせずに作業を続けている。



それもまた、イラっときた。



「聞いてんのかよ!!!」






私はたまらなくなって、奴の胸ぐらを思いっきり掴んだ。


途端に奴の目の前にあったフィルムは、音を立てて床に落ちてゆくーーー






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