今日こそ絶対に自殺します。






ーーーだけど……



奴が笑うことは全くといっていいほどなかった。





「はぁ…」



現像した写真を眺めながら、私はため息をつくーーー



「なんなんだよこいつ…ロボットかよ…」



笑っている写真など一つもない。


ふとした瞬間も全く笑わない。




奴は一体、何者なんだーーー?












ーーーだけどある日。



奴にちょっとだけ変化が起きた。



それはーーー



「え!?携帯持ってる!?」



携帯を買ったということ。



しかもーーー



「何あれ、ずっとメール打ってる!?」



授業中でも昼休みでも、手から離さず携帯をいじっているのだ。




ーーーこ、これは撮らないと!!!



「パシャパシャパシャパシャーーー」






ざっと200枚くらいを撮ったところで、私は廊下に出てきた奴に声をかけた。




「携帯買ったの?」


「…っ」


「自分には必要ないとかほざいてたじゃん」


「………」



奴は私の方を見ると、少し冷たい目で私を見つめた。



「……必要と感じたので」



そう言うと奴はどこかに歩いていってしまった。




「ーーなにあれ」





ーーーへんなの。



私はずっとその後ろ姿を眺めていた。














ーーーこの時の私は気付けなかったんだ。


奴の…竜也の悲しげな背中が、



助けを求めていたことにーーー






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