今日こそ絶対に自殺します。
それからも彼は携帯を手放さなかった。
ーーーそれだけじゃない。
頭を抱え込み、唇を噛み締め、いつも目の下にクマを作るようになった。
ーーーあいつ…大丈夫か…?
カメラを両手に、私はいつのまにか奴の心配ばかりしていた。
ーーーそんなある日のこと。
「ーーーガラガラ」
なんと奴は、体をフラつかせながら部室に入ってきた。
ーーーおいおいまじかよ!!!
私は急いで席から立ち上がると、今にも倒れそうな奴の肩を持った。
「……しっかりしろよ」
奴は下を向いたまま、何一つ言葉を発さない。
私が持っているのと反対の方の腕は、下にダランと伸びている。
「……とりあえず、そこの椅子座れよ」
イライラする気持ちも全然なかった。
とりあえず私は、奴が心配で心配でしょうがなかったんだ。
ーーーと、その時だった。
「ギュッ!」
「っ!!」
急に奴は私の体をーーー
しがみつくようにして抱きしめた。
「えぇ!ちょっ…!」
私は混乱した。
そして顔がみるみる熱くなってくるのを感じた。
ーーーもうなんなんだよこいつ!!
放せ!そう言おうとした時だったーーー
「………怖い」
ふと、奴が今にも消えそうな声でそう言った。
「………え」
「…怖い………助けて……」
「……っ」
奴はそう言うと、
「ーーーバタン」
まるで気を失ったかのようにその場へ倒れた。
ーーーえ?
「ハァ…ハァ…」
奴は息苦しそうにしている。
額に手を当てると、
「うそ……」
ものすごい熱さだった。
ーーー先生呼んでこなくちゃ!!!
私は急いで部室を出て、保健室へと全力疾走で走り始めた。
『………怖い』
奴の言葉が頭の中をよぎっていく。
私は全力で廊下を駆け抜けた。
胸の奥から込み上げてくる熱いものを、必死で抑えるようにしてーーー