今日こそ絶対に自殺します。
ーーーそれからさらに月日が経ち、奴はとうとう学校に来なくなった。
千崎竜也という存在があったことも、どんどん学校から消えていった。
「ーーー合格おめでとう、礼子ちゃん!」
「……うん」
私は隣県の私立大学に、見事合格した。
だけどーーー
やっぱり気分は乗らなかった。
それは、奴がいないから。
ーーーそして迎えた卒業式。
周りのみんなは校歌を歌いながら、ワンワンと涙を流していたけど、
私は一つも泣けなかった。
校長先生の話も、来賓の方々の話も、保護者の話も、校歌も、国歌も、なにもかも頭には入ってこなかった。
ただ聞こえてくるのはーーー
『ーーー咲田先輩』
奴の、色のない声のみーーー
ーーー卒業式が終わって、私は小さい頃からよく来ていた海岸に足を運んだ。
この街からも、あと数ヶ月で旅立つ。
カメラ越しじゃなくて、しっかりとこの街の海を目に焼き付けようと思ったのだ。
「……?」
ふと海岸に着くと、前方に人影が見えた。
恐る恐る近づくとそれはーーー
「っ!!!」
ーーー千崎竜也だった。