今日こそ絶対に自殺します。






ーーーニオが病室を出ると、廊下には豆腐とウツボと兄貴がベンチに座っていた。



ウツボと兄貴は険しい表情を浮かべ、豆腐は既に泣いてしまっている。





「…ニオ!」



兄貴がふとニオに気がつくと、すぐさま立ち上がって駆け寄っていった。



「…パピヨンは無事か!?」



「うん…今は安定してるわ」




ニオがそう呟くと、兄貴はまたさらに険しい顔を作った。



「目は……覚まさねーのか……」











「ーーーヒック……ヒック……」



ふと、ニオはベンチに目を向けた。



顔を手で覆って静かに泣いている豆腐と、その背中を優しくさすっているウツボ。




「豆腐…」


ニオは豆腐の前に来るとその場にしゃがみこんで、小さな手をギュッと握りしめた。



「泣かないで、豆腐。
パピヨンが3階から落ちただけで死ぬわけないじゃない…
あいつは地球が滅亡しない限り、絶対に死んだりしないわよ」




ヒックヒックと声をしゃくりあげながら、豆腐はニオの顔を見つめた。




「はい…知ってますっ…ヒック…
パピヨンさんはそんなことで…
死んだりしません……ヒック…
ーーーでも…私…不安で不安で………」




豆腐はさらに泣き始めた。



隣のウツボは唇を噛み締めて、豆腐の背中をさすった。









「ーーーウツボ」


ニオが声をかけると、ウツボはゆっくりと顔を上げた。



「……チャンぴか、どこにいるか知らない?」




ウツボは険しい表情を作ると、少しだけ下を向いた。




「ーーーロビーで……
ずっと泣いてます………」



「ーーーっ…分かったわ」



そう言うとニオは足早にそこを去っていった。





ーーーあなただけよ、チャンぴか。





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