今日こそ絶対に自殺します。
「ーーー到着いたしました」
カフェが内在している大きなビルの前に車が寄せられると、俺は車から出た。
俺の前を他会社の社長と父親が並んで歩いて行くーーー
俺は大きなビルを見上げた。
首が痛いほどに高くそびえ立つそれは、俺の前に立ちはだかる壁のように見えた。
「………」
俺は、一生こうやって生きていくのか。
俺は、もう逃げられないのか。
絶望ばかりが頭の中を通り過ぎていく。
「………っ」
俺は唇を強く噛み締めた。
「ーーーねぇ!」
「っ!」
ふと、後ろから声が聞こえてきた。
恐る恐る振り返ると、そこには赤いランドセルを背負った一人の少女が立っていた。
俺と同い年くらいに見える。
「そのビルの中、もしかして入ったことあるの!?」
少女は目をパチクリさせながら俺を見つめている。
「え……うん、まあ…」
「へぇー!!」
驚いた表情をすると、少女は俺の元に駆け寄ってきた。
「君すごいんだねー!!」
「えっ?」
「だってさーこんな大きなビルの中に入れるんでしょ?ーーー君はすごいんだよ!!」
なんの根拠があってすごいと言ってるのか、全然分からなかった。
だから、腹が立ったんだ。
「ーーーすごくない」
「え…?」
「全然、すごくない」
俺の苦しみなんて、お前なんかに分かるもんか。
俺はすぐさまビルに向かって歩いていった。