今日こそ絶対に自殺します。
「………」
俺は髪がボサボサになっていることなど気にも止めずに、彼女を見つめ続けた。
奇跡が起きたと思ったんだ。
ずっとずっと頭の中でしか見れなかった彼女の笑顔がーーー今ここにある。
『ーーー遊ぼ!』
ふとまた彼女は口だけで俺に言葉を伝えてきた。
そして小さな手でこちらに手招きをしてくる。
「……っ」
俺は彼女のメッセージを受け取って、心が痛んだ。
遊びたい、ものすごく遊びたいけどーーー
俺はここから出られないーーー
『ーーー行けない』
俺も口を動かしてメッセージを伝えた。
『ここから、出られない』
彼女はその言葉を理解すると、口を閉じてまじまじと俺を見つめてきた。
どこか真剣な表情の彼女の目は、まっすぐで透き通ってるーーー
『ーーー待ってて!』
「え…?」
彼女はそう言った途端、家の壁の凹凸に足をかけ、俺がいる2階へとよじ登ってきた。
「っ!!!」
俺はまた驚いた。
危ないよ!と声をかけようとした。
だけどーーー
そんな言葉をかける間も無く、彼女はどんどん壁を登ってきたんだ。