今日こそ絶対に自殺します。






そしてーーー




「よいしょっと!」



彼女はとうとう窓に手をかけると、俺の部屋にピョンと入ってきた。



「うわーほんと疲れたぁー!
あっ!靴履きっぱなし!ごめんね!!」



彼女は急いで靴を脱ぐと、片方の手に一足ずつ持って笑ってみせた。




「ーーー久しぶり!たっちゃん!!」






俺は目の前の彼女を見て、ただただ固まるばかりだった。



頬に土の汚れをつけた彼女は、悪戯っぽく二ヒヒと笑っている。




「あ……」



口を開けたままの俺に、彼女は笑いながら話しかけてきた。




「なに固まってるの!?私そんなに怖い?」



「え…あ、いや……」




言葉がうまくまとまらない。



何を話せばいいんだーーー




「ふっふーん」



彼女は俺の元に駆け寄ってくると、思い切り顔を近づけてきた。




「っ!?」



「ふふ、もっと顔を柔らかくしてあげないと!」



途端に彼女は僕の頬を掴むと、おもいっきり引っ張った。



「いたたた!!」


「あははっ!」




彼女は僕の顔を見て笑うと、頬から指を離した。



「私たちは友達なんだよ?」


「……え?」


「だからもうそんな固い顔しないで?」




ーーー友達。



僕の心に響く『初めて』。ーーー友達。







「そう、その顔!」


「…っ?」


「今、すごく嬉しそうな顔してる!!」


「……え?」




彼女は僕から少し離れると、改まったように一礼をした。




「改めて言います!
私は柿本光!小学4年生!
この丘のふもとの小さな家に住んでいて、毎日自由気ままに生きています!!
そしてーーーあなたの友達です!!」



彼女は僕に手を差し出してきた。




「改めて、よろしくお願いします!
ーーーたっちゃん!!」





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