今日こそ絶対に自殺します。
ーーー急に嵐が襲ってきた。
だけどその嵐は、どこまでも俺を興奮させて、どこまでも希望に満ちさせた。
どうか、去らないでくれーーー
光の顔を見た瞬間、そう思ってしまったことは言うまでもない。
光は俺の初めての友達になったんだーーー
「ーーーたっちゃん!」
毎日夕方頃、光は森から姿を表すと、俺の部屋へとよじ登ってきた。
「ーーー10分だけだよ?」
「うん!分かった!」
10分だけ部屋でお話をする。
俺は光とそういう約束のもと、友達として付き合うことになった。
本当はもっともっと喋りたかった。
初めての友達として、ずっとそばにいてほしかった。
だけどーーー
「ーーー竜也」
「はい」
「勉強しているか?」
「はい、お父様」
父がいる限り、長く一緒にいることは許されなかったのだ。
「たっちゃん、これ知ってる?」
「なに?」
光は俺が知らない外の世界のことを、たくさん教えてくれた。
俺は毎回毎回興味津々になって聞いた。
小学校はどんな場所なのか。
親が作ってくれる手料理はどんなに美味しいか。
光の口から出てくる言葉は、
ーーー俺の夢そのものだった。
いつかは、俺もそんな世界に行ってみたい。
いつかは、俺もそんな世界で暮らしてみたい。
光の『夢』を聞くたびに、俺の希望はどんどん満ち溢れていき、そしてどんどん欲望も強くなっていった。