今日こそ絶対に自殺します。
ーーー以前と全く同じビルの前。
車が到着すると、中に乗っていた父と他企業の社長と俺は外に出た。
俺の前を父と他企業の社長が喋りながら歩いていくーーー
俺は立ち止まっていた。
立ち止まって、首が痛くなるほど高いビルを見上げた。
「………」
俺の前に立ちはだかる壁。
俺を自由から閉じ込める、大きな大きな壁。
このまま俺の方に倒れてきそうで、ものすごく怖かったーーー
「ーーーたっちゃん!」
「……っ!!」
ふと、後ろから声が聞こえてきた。
振り向くとそこにはーーー
「……光」
「へっへーん!驚いた!?」
悪戯っぽく笑顔を浮かべている光が立っていた。
「なんでここに……」
「え?なんでって、車を見かけたからだよ!
たっちゃんが乗っていたから追いかけてきちゃった!!
ーーーじゃあそういうことで……」
ギュッ
「っ!」
光は俺の手を握った。
「逃げよっか?」
「えぇ!?」
俺は目を丸くした。
逃げる!?逃げるってーーー
「たっちゃんの目が言ってる」
「…え?」
光は俺の目を指差した。
「逃げたいって、たっちゃんの目が言ってる!
私はたっちゃんの友達だよ?
一緒に逃げるくらい、当たり前のことでしょ?」
光は俺の手をさらに強く握ると、微笑んで見せた。
「行こう!ーーーたっちゃん!!」
ーーー俺は彼女に引かれるまま、そこから逃げていった。
怖くなかったって言ったら嘘になる。
だけどーーー
「ーーーにーげろーっ!!」
太陽に照らされる光の後ろ姿を見て、希望に満ち溢れていたことには間違いない。