今日こそ絶対に自殺します。
ーーー5年の月日が流れたある日のこと。
俺は酒に溺れ、公園のベンチで横になり、そのままぐったりとしていた。
「………」
ただ息をするために生きているような俺。
もう、この世にいる意味もないんじゃないかと思っていた。
「ーーーワン!」
「…っ!?」
ふと、近くから犬の鳴き声が聞こえてきて、俺は恐る恐る体の向きを変えた。
するとそこには、一匹の犬。
しかもそれはーーー
「ーーーっ!!」
光の大好きだったパピヨン。
俺の目の前にいるパピヨンは、目をキラキラと輝かせてこちらを見つめていた。
『ーーーたっちゃん!』
「っ!!」
ふと、懐かしい声が聞こえてきた。
懐かしく、愛おしく、そしてーーー
もう二度と聞けないと思っていた声ーーー
『ーーーたっちゃん!』
パピヨンは俺に近づいてくると、俺の顔をペロペロと舐め始めた。
「…なっ…やめろ…よ……」
俺はパピヨンを遠ざけようとするが、それに反してパピヨンは俺の顔を舐め続ける。
『生きて、たっちゃん』
「……っ!」
また声が聞こえてきた。
まるで、そのパピヨンが俺に話しかけてくるみたいにーーー
ーーーペロペロ…
パピヨンは俺の顔を舐めているんじゃなかった。
「……グスッ…」
俺の涙を舐めていたんだーーー