今日こそ絶対に自殺します。





ーーー俺は千崎商業へと戻った。



元々会社の様々なことを教わっていた俺は、1年間で『次期社長』の地位を取り戻した。



そして稼いだ金で一軒のぼろアパートを買い、改装した。





上下白スーツに、胸元をざっくりと開けた真っ赤なシャツに、金髪のボサボサ髪。



俺は誰もが見ても変だと思うような服装に着替えた。





2年間で全ての準備を終わらせた俺は、アパートを『自由すぎる女神症候群ハウス』と名付け、世の中で苦しむ様々な人を見つけては招待した。




最初に出会ったのは兄貴。



そして次に、偶然道ですれ違った咲田先輩。



そしてウツボ、豆腐ーーー






俺はどっから見てもアホとしか言いようがないキャラを作り上げ、一人一人が俺に気を使わず接することができる環境を作った。





そして何より俺はーーー


ーーー絶対に彼らを『縛り付ける』ようなことはしなかった。




自由にやれ。


自由に生きろ。




大事な人を縛り付けて殺してしまった俺は、それを反省して自由なことをさせた。






ーーー豆腐には、自由に『BL作品』を読んでいいと言った。



豆腐に過去を引きずらせないために、俺は豆腐が読みたいと思った『愛』を全て買い与えた。






ーーーウツボには、自由に『鬱』になれと言った。



ウツボが抱えた借金を全部返済し、毎朝、毎昼、そして毎晩子供達の飯を作りに行った。





ーーー兄貴には、自由に俺を『殴れ』と言った。



スポーツはやればなんでもできたものの、格闘技に耐えられる体は備わってなかった。


だから俺は毎日毎日ジムに通って、兄貴がいくら殴ってもぶっ壊れないような体を作り上げていった。





ーーーそして咲田先輩、ニオは…



彼女は自分からこの家に住むと言いだしてきた。


そして長年勤めていた会社を辞め、大好きな写真を飾ったバーをオープンさせた。



彼女はいつも俺に言ってきた。


私はある人を助けたいからここにいる、と。







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