今日こそ絶対に自殺します。





自由に自殺していい、というのは本当に口だけのことだった。



俺は彼女が自殺しようとするたびに邪魔をしたのだ。





豆腐の宝物をわざと盗んだり、


ウツボの弟をわざと荒地に行かせたり、


兄貴がジムに戻るよう仕向けたりーーー




俺は彼女を全然自由にしようとはしなかった。





ーーー怖かったんだ。




また死なれてしまうことが、



ものすごく怖かったんだーーー












何も計画をしていなかった俺は、正直どうすれば彼女を救うことができるのか分からなかった。




ーーーだけど、ただ一つ。



最初に思いついたことがあった。



それはーーー


『チャンぴか』


俺が咄嗟に思いついたこの名前の意味を、彼女自身に見つけさせること。





ーーー彼女が遭遇した様々な場面で、俺は遠回しに彼女にメッセージを送った。




それはーーー



俺がどん底から這い上がった時に学んだ、

数々のことーーー




気付いてくれ。


俺のメッセージに気付いてくれ。



どうしても縛り付けることをが許されなかったこの場では、彼女に『自殺するな』と言うことなんてできなかった。



俺は送り続けたんだ。



彼女に、俺のメッセージをーーー






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