今日こそ絶対に自殺します。
私は娘のキラリを膝に乗せながらも、カウンター席に座った。
「キラリちゃんは今何歳?」
「今年で3歳です」
「へぇー!もうそんなに大きくなったの!?
ものすごく年を感じるー」
「大丈夫ですよ。
ニオさんまだまだ若く見えますし…」
「『見えます』ってどーゆーこと!?」
ニオさんは私にアイスティー、そしてキラリにオレンジジュースを用意してくれると、私の隣の椅子に腰かけた。
「まあこの通りよ、全然お客さん来ない」
「そーなんですか…」
「別にいいけどね。
私だけの専用空間ってことで置いとこうかしら」
相変わらず、このバーの壁には写真がたくさん貼り付けられている。
5年前出会った、大切な仲間たちの写真ーーー
「みんなには会ってるの?チャンぴか」
「それが…あんまり…
ーーーでも、今日会う約束をしてるんです。
せっかくキラリもいますし、私の仕事もひと段落したので」
「へぇーなるほどねー」
ーーーカランカラン…
キラリがグラスを持つと、中の氷が音を立てた。
ずっと前の、ミルクティーを思い出す。
「ちょっとキラリ…気をつけて持ってね?」
「はぁーい」
キラリは一口オレンジジュースを飲むと、たちまち笑顔になった。
「おいしぃー!」
「あら、嬉しいこと言ってくれるわね、キラリちゃん」
ニオさんも優しい笑顔を作った。