今日こそ絶対に自殺します。





「うわぁぁぁ!!」



ふと、1人の男の子が泣き始めた。



「おー茂、大丈夫か?」


兄貴さんは男の子に近づいて行くと、頭をポンポンと叩いた。



「どーしたんだ茂。何があった」


「僕…グスッ…裕也くんに勝てない…」


「なんだーそんなことかぁ!」



兄貴さんは男の子の前でしゃがむと言った。




「いいか茂。裕也はものすごく強いやつだ。
お前はそいつを目標としてるんだな?
うん!偉いぞ茂!!

ーーーだけどなぁ、最近お前のパンチを見てると、少しだけ裕也にビビっているところがあるんだ。

ーーーお前に必要なものは、あと一つだけだ。
それがなんだか、お前はもう知ってるよな?」




男の子は涙を拭うと頷いた。



「勇気の…拳…」


「そーだ!よく覚えてるな茂!!
お前に必要なのは、あと勇気だけだ!!
頑張れ茂!お前にならできる!!」




兄貴さんはそう言うと、男の子の頭をクシャクシャと撫でた。



「……うん!僕…勇気出す…!!」



男の子はそう言うと、走って行ってしまった。





「ーーーすごいなぁ…兄貴さん」



すっかりお気に入りなんだね、『勇気』が。



私は兄貴さんの勇ましさに少し感動していた。







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