今日こそ絶対に自殺します。
―――『愛』のない…環境…
『愛、それは…グスッ…それは…!
自分をこんなにも泣かせて、こんなにも心を温かくさせるもの―――』
あ……
ふと、主人公のセリフが蘇った。
もしかして、
もしかすると、
豆腐ちゃんは―――
「豆腐は、この漫画のこの場面で『愛』が何なのかを知ったんだよ、きっと」
「……っ」
パピヨンの言葉で、私は胸を打たれたような気持ちになった。
『愛』のない環境で育った豆腐ちゃんは『愛』がなんなのかを知らなかった。
そして、やっと見つけたはじめての『愛』がこれ、一冊のBL漫画だったんだ。
馬鹿にできねえじゃねえか、この宝物。
そりゃ生きていけないな。
自分にとっての一番の『愛』がなくなってしまったらー…
「………」
私はただ無言でこのBL漫画を眺めていた。
たった一冊のボロボロの漫画だけど、私にはこの漫画が温かい『愛』そのものに見えた。