今日こそ絶対に自殺します。




「お待たせしました。
アイスミルクティー二つです」


「おっどーもどーも!
ちゃんねぇ可愛いねぇー!」




目の前のキモ男は店員からミルクティーを受け取ると、私の前にトンと置いた。



「ほらよっ!ミルクティー!」


「あ、ありがとうございます……」




男はさっそく自分のグラスを片手に持つと、ものすごい勢いでミルクティーを飲み干した。



「くはぁ!うんめーなこのミルクティー!
グビッグビいけるわっ!喉越しサイコォ!!」




ビールじゃねぇよミルクティーだよ。




「………」


私は自分のミルクティーに視線を落とした。



オシャレなグラスに、氷と一緒に入れられたミルクティー。


そのまろやかな色と愛くるしい姿。



「ハァ…」


なんだかため息が出てきた。



自分の一生よりも、こうやって人においしく飲まれるミルクティーの一生の方が断然幸せなんだろうなってーーー




このミルクティーを私がグビっと飲むことで、
私の一生がちょっとだけ幸せになったりすることってあるのかな?



ミルクティーの幸せを私の体内に巡らせることってできないのかな。




「ーーカラン…カラン…」



私は両手でしっかりと冷たいグラスを持つと、


「ーーーゴクッゴクッ」


冷たいミルクティーを喉の奥へ流し込んだ。





ーーー幸せを、わけてください。





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