~1番愛した人~
第一章 ありふれた出逢い。
ヒューヒュー
カタカターー
まだ少し肌寒い春の始め、私はいつもの
ようにコソッと家を抜け出す。
『ふぅー』
静かにため息をつき、いつもの道を歩い
て行く。
シュボッーー
煙草に火をつけ、ゆっくり煙を吐く。
そして、いつもの曲がり角を曲がる。
真っ暗な夜の道に車のライトが眩しく行き交う。
まっぶし…
そんな事を思いながら一際人気の少ない
道を真っ直ぐ歩く。
いつもの自販機の前まで来た私は、何を
買うことなく、横のブロックに座る。