午後4時半のカフェラテ
横取り
入学式の日の放課後。学校から最寄りのコンビニエンスストアに立ち寄ったのは、確かその頃だったと思う。
四月にも関わらず茜色の西空に少し、肌寒い風が吹いていた。コンビニの前の交差点で、あらかじめ用意していたカーディガンを羽織ったのを覚えている。
コンビニの自動ドアが開いて、中に入ると、お決まりの「いらっしゃいませー」という声が飛んできた。確か三十路で小太りの男性だった。
私は窓側の雑誌や漫画のあるコーナーを一瞥し、新刊が出ているか確かめた後に奥のおにぎりやら、ソフトドリンクやらが置いてあるコーナーへと、最近ハマっている新発売のコンソメ味カフェオレを買うために足を運んだ。
あまり出回っている商品ではないらしく、残りはあと一個だけだった。
心の奥で溜息んつき、カフェオレに手を伸ばそうとしたが、もう私が手を伸ばした時にはカフェオレの影も姿も消失し、私は空気を掴んだ。
慌てて後ろを振り向くと「一点で二百八十三円になりますー」と、先程の男性の声が聞こえた。
彼の手元には今まさに袋に入れようとしているコンソメ味カフェオレがあった。
あ、袋は大丈夫です。そう店員に言った客の後姿は何処か見覚えがあった。整った顔に染めたと思われる茶髪。そしてあの紺色の制服。
______そうだ。あの制服は、私の学校のブレザーだ。
その事に気が付いたときにはもう、その客の姿は無く、ただ自動ドアの閉まる音が店内に響いていた。
四月にも関わらず茜色の西空に少し、肌寒い風が吹いていた。コンビニの前の交差点で、あらかじめ用意していたカーディガンを羽織ったのを覚えている。
コンビニの自動ドアが開いて、中に入ると、お決まりの「いらっしゃいませー」という声が飛んできた。確か三十路で小太りの男性だった。
私は窓側の雑誌や漫画のあるコーナーを一瞥し、新刊が出ているか確かめた後に奥のおにぎりやら、ソフトドリンクやらが置いてあるコーナーへと、最近ハマっている新発売のコンソメ味カフェオレを買うために足を運んだ。
あまり出回っている商品ではないらしく、残りはあと一個だけだった。
心の奥で溜息んつき、カフェオレに手を伸ばそうとしたが、もう私が手を伸ばした時にはカフェオレの影も姿も消失し、私は空気を掴んだ。
慌てて後ろを振り向くと「一点で二百八十三円になりますー」と、先程の男性の声が聞こえた。
彼の手元には今まさに袋に入れようとしているコンソメ味カフェオレがあった。
あ、袋は大丈夫です。そう店員に言った客の後姿は何処か見覚えがあった。整った顔に染めたと思われる茶髪。そしてあの紺色の制服。
______そうだ。あの制服は、私の学校のブレザーだ。
その事に気が付いたときにはもう、その客の姿は無く、ただ自動ドアの閉まる音が店内に響いていた。