ワケあり彼女に愛のキスを
「おまえは付き合ってるつもりだったかもしれないけど、菊池からしたら都合よく使ってるだけだろ。金持ってくるし、したい時ヤラせてくれるし、挙句、他の女と何したって黙って待ってるし。
おまえが何でも言う事聞くから、菊池が調子に乗ってんじゃねーの?」
舞衣は少し黙った後、ムっとした表情を優悟に向けた。
「でも、優悟だって都合いい時に呼び出して女の子としてるくせに」
「俺は金とったりしねーし。それに、本気のヤツなんて後々面倒だからまず相手にしねーよ。軽く遊べるようなヤツ相手にお互い分かり合った上で割り切って遊んでんだから問題ねーだろ」
「でも……っ」
「どっちにとってもメリットなんだよ。
おまえんところは、菊池にとってはこれ以上ないくらいメリットなんだろうけど、おまえにとってはデメリットしかないから問題なんだろ」
「私は……秀ちゃんに都合いいように使われたって、それでも好きだもん……。
好きな人と一緒にいられれば、それだけで私にとってはメリットだよ」
顔をしかめながらもそう口にする舞衣に、優悟がため息をつく。
本来なら、他人の人生相談なんて好き好んで受けるタイプの男じゃない。
しかも恋愛相談なんて冗談じゃない。どんな悲恋だろうが好き勝手やってろとしか思わない。
他人の悩みをきいたところで得する事なんてないし、第一、そんなものうっかり聞いてしまって懐かれたりしたら堪ったもんじゃない。
元々、お手て繋いで仲良く、なんていうスタンスが苦手だし、他人がどうなろうが知ったこっちゃないとまで突き放せるタイプなのに。
舞衣があまりにふらふらしていて危なっかしいせいで、つい口が出てしまっていた。