ワケあり彼女に愛のキスを
本当にそんな男の一体どこがいいんだと聞けば。
「秀ちゃんは、私のヒーローなの」
真っ直ぐな笑顔で、はっきりと返ってくるものだから何も言えなくなる。
「中学ん時に一度助けたくらいでヒーローねぇ」
「その時の秀ちゃん、すごく優しかったから。だから、本当は優しい人だと思う」
皮肉のつもりで言ったものに対して返ってきた言葉に。
優悟が呆れた表情で「いい事教えてやろうか」と言う。
「やる前の男はみんな優しんだよ。覚えとけ」
ムッとした顔をする舞衣を無視して、優悟が最後の一口になったパンを詰め込んだ。