ワケあり彼女に愛のキスを


「遊ぶなら、相手を考えた方がいいんじゃねーの。
ああいうヤツ、面倒だろ」

本来なら、誰が誰に遊ばれようと傷つけられようと知ったこっちゃない。
自分とは何ら関係ないのだから放っておけばいいし、絶対に自分から関わっていったりしないのに。

らしくなさを自覚し、心中複雑な優悟が言った言葉に、秀一は軽く流すように笑う。
まるで優悟がとんちんかんな心配でもしたかのように。

その笑い声が鼻につき……優悟がゆっくりと秀一に視線を移す。

「まぁ、普通なら遊ぶにはあんま向かないタイプですね。
でもあいつは俺の言う事ならなんでも聞くから」

「だからいいんですよ」と答える秀一は、舞衣をまるで自分の所有物のように思っているようで。

「それに、あいつは俺の傍にいる事が幸せだって言うしお互い納得した上ですから。
俺にとっては妹みたいなもんですしね。
切り離せないっつーか」

軽く笑いながら言う秀一がなんとなく頭にきて、意識するより先に言葉が漏れていた。

「あれだけ適当に扱っておいて妹みたいなモンか?」

優悟の声色が変わったのに気付いたのか、秀一が少し戸惑った様子で優悟を見る。
優悟の視線は、真っ直ぐに秀一を見据えていた。

「切り離せないんじゃなくて、切り離したくないだけだろ。
便利で都合のいい玩具だから」
「……別にそういうわけじゃないですよ。
あいつだってそれで満足してるし、俺も本当にあいつを妹みたいに可愛がって……」
「おまえ、妹抱くのか」

しん、とした空間に秀一は黙り……優悟がはっと乾いた笑みを吐き出す。

「あんま褒められた趣味じゃねーな。本当に妹だと思ってんなら」

思わぬところを突かれて眉を寄せた秀一を見ながら、優悟が続ける。

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