ワケあり彼女に愛のキスを
「ほら、そういうのがあざといって言ってるのよー。
別に責めてるわけじゃないのに謝られたら、私が城ノ内さんいじめてるみたいに映っちゃうじゃない」
「……すみません」
そう言われても謝る事しかできない舞衣が、また申し訳なさそうに笑顔を崩すと、優悟たちに視線を移した木村が、やれやれといった具合に笑う。
「この子、鼻につく天真爛漫さっていうか……それに模範的ないい子って感じの事ばかりして。それをあざといって言ってるのに、ちっとも直さないで謝るだけだし。
内間さんたちから見ても、ちょっとわざとらしいと思いません?」
話を振られ、内間が受け答えに困っている隣で、優悟がじっと舞衣を見つめ……。
木村の隣で萎縮し目を伏せている舞衣を見ながら、舞衣の中学時代を想像する。
きっと、中学でいじめられていた時もこんな感じで小さくなって俯いていたのだろうと。
そして……そこを秀一が――。
「城ノ内さんは、悪くないんじゃないですか?」
急にそんな事を言いだした優悟に、舞衣が弾かれたような表情をして顔をあげる。
「だって、それが素なんですよね。城ノ内さん」
にこりと微笑みながら聞かれた舞衣が、驚いた表情を浮かべ「素……です」とだけ答えると。
「だったら責められる必要も謝る必要もないんじゃないですか」
優悟がぴしゃりと笑顔で言い切った。