ワケあり彼女に愛のキスを


舞衣の中では秀一との関係だけが恐らく特別なんだろう。
自分が秀一と並んだ位置に立てるのはとてつもない時間が必要に思え……それなのにも関わらず、諦める気が起きないから厄介だった。

他の男に夢中でしかもその想いはどうやったってきっと揺るぎなくてとてつもなく一途。
事もあろうにそんな女に惚れた自分を恨むしかなかった。

「おまえをいじめてたヤツらを過去に戻って殴り飛ばしたい」

そもそも、舞衣がひとりぼっちにされていなければ、きっと秀一とこんな関係になる事はなかった。
だから勝手な嫉妬心と僻みで舞衣をいじめたヤツらがいなければと思い、そうもらしたのだが。

そんな優悟の気持ちも知らずに「ありがと、優悟」と満面の笑みで言う舞衣に、優悟がため息を落とした。




< 70 / 152 >

この作品をシェア

pagetop