【完】サックスパートの日常
洗脳&編曲者
「結菜先輩、この曲のここ難しすぎじゃないですか?」
文化祭で吹く曲の中に、ひとつサックスだけ異常に難しいところがある。
ナミちゃんや舞ちゃんがずっと文句を言ってるくらいに。
「うん…ここは難しいよね……。」
どうしようか悩んでるとひとつの案が思いつきました。
「そうだ、みんな!洗脳作戦でいこう!」
私がそう言った瞬間、ナミちゃんと舞ちゃんは目を輝かせ、和樹くんは呆れたような顔をしました。
そしてななちゃんはいつも通り完全スルー、と。
「あのね、みんな!自分を天才だって思うことでこの難しいところが吹ける様になるという作戦!」
そう言ってドヤ顔すると、
「結菜先輩、それいいですね!」
「私は天才天才天才……」
結構みんなやってくれました。
そして洗脳作戦を決行し、難しいところをみんなで吹くけど…失敗。
「これ、途中で洗脳解けますね……」
ドヨヨーンとするうちのパート。
「もー!やだ!出来ない!こんな悪意のある楽譜初めて見た!作った人誰!?」
そんな中、さけぶナミちゃん。
そしてこの楽譜を書いた人を見たナミちゃんが一言。
「相沢(仮名)さんか…」
そんなナミちゃんの言葉を聞いてななちゃんが口を開きました。
「他の曲も結構、相沢さんが編曲してるよね。」
「確かに!相沢さん生意気ー!」
と舞ちゃん。
怒りの矛先が相沢さんにいっていることに気づき、私は慌てて止めました。