【完】サックスパートの日常
「だから俺は冷たくなんてしてないって言ってますよね?いい加減しつこいですよ。」
怖い。
和樹くんに睨まれて声が出なくなる。
なにこの子。別に目つき悪いわけじゃないのに。なんで怖いの。
「…嫌われてるのか……」
だからこんな冷たい視線を向けられるんだ。
胸が痛むのと同時にまたため息が聞こえた。
どうやら、私のつぶやきが聞こえたようだ。
「なんなんですか。はい、先輩のこと嫌いです。そういえば満足なんですか?」
そう言う口調や視線が本当に私のことが嫌いだって言ってるように見えて。
「和樹くんなんて大っ嫌い…!」
「知ってますし、俺も先輩なんて好きじゃありませんから。」
泣きそうになりながら私はその場を走り出した。
そしてそのまま和樹くんと別れたのだった。
引退まであと4日のことでした。