【完】サックスパートの日常
「視聴覚室、開けときました。立てますか?視聴覚室までついていきます。」
ななちゃんにそう言われ慌てて首を横にふる。
「私一人で視聴覚室いけるから!みんなは早く楽器とかの準備しな。ありがと。」
後輩にばっか迷惑かけられない。
必死に説得して私は一人で視聴覚室に向かう。
……が。
あ、これやばいパターンじゃん。
歩いてるうちに足が動かなくなる。
やばい、たどり着けない。フラフラしてきたし……
その場に座り込むとパタパタとこちらに向かって走ってくる足音が聞こえた。
舞ちゃんとか来てくれたのかな…
そう思いながら振り向くと、
「先輩…っ、大丈夫なんですか?持病がなんかお持ちなんですか?」
息を切らしてる和樹くんがいた。
「ちょ、やばい…」
差し出された手に捕まると和樹くんは私を立たせてくれた。
「…舞から聞きましたよ。危ない状態なのにひとりで視聴覚室に向かおうとしてるって。
自分たちが行くと結菜先輩遠慮するから俺が行けって言われました。」
だから一緒に視聴覚室まで行きますよ。
和樹くんのその言葉に頷きながら、視聴覚室へと向かう。
「昨日はごめんね…。本当は好きだからね。」
私がそう言うと和樹くんはえ。と言った。
「好きとか困ります。」
「はい違うからね。告白じゃないよ。勘違いすんな。」
本当に、和樹くんは。
可愛い後輩だ。