【完】サックスパートの日常



「んー?」



「その楽器って名前、笹千子でさちこって言うんですよね?」




そう、なぜか私の使っていた楽器だけ代々名前が受け継がれてるらしいのだ。




「らしいよ!さちこをよろしくね?ナミちゃん。」




「さちこおおお!これからよろしくねぇ!!」




ナミちゃんのそのノリにドン引きする和樹くん。



ななちゃんはそれに苦笑した後、えっ、と驚きの声を上げた。




そして舞ちゃんに駆け寄るななちゃん。




「ま、舞ちゃん……?なんで泣いてるの?」



そう、舞ちゃんは泣いてたのだ。




「え…えー、舞ちゃん⁉︎」




私とナミちゃんも急いで駆け寄る。


和樹くんは少し動揺したようにそれを眺めていた。



「ひとりだけ床だと話には入れません〜」



うわーん、と泣き始める舞ちゃん。



もう舞ちゃんが泣くのは日常茶飯事になってしまってる今、もう誰も舞ちゃんを気にしなくなっていた。



みんなワイワイと楽器を掃除してる。先生でさえも苦笑しながらなにやら作業をしている。



最初の頃はみんな心配したり駆け寄ってくれてたりしてたんだけどな。



慣れ、というのに少し悲しくなる。



< 126 / 133 >

この作品をシェア

pagetop