【完】サックスパートの日常
人生の歯車
「和樹くん、楽器の調子悪い?いつもより吹けてないけど…」
和樹くんが吹けてないのは珍しいことで少し心配をする。
「楽器の調子は悪くないです。ただ…」
明らかに暗い和樹くん。
「なに?言ってみ?」
私がそう聞くと和樹くんはどんよりとしながら口を開いた。
「人生の歯車が止まったんです…」
今にでも消えかけそうな声の割には言葉の内容はどうでもよかった。
「ふーん、興味ないからいいや。」
私がそう言うとナミちゃんが慌てて和樹くんをフォローする。
「ちょ、先輩⁉︎聞いといてかわいそうですよ!」
そして舞ちゃんも少し考え込み始めた。
「人生の歯車…きになる。」
「だって和樹くんの人生の歯車が取れようが今は関係ないもん。」
「確かに」
「まぁ、そうか。」
私のその言葉に同意するナミちゃんと舞ちゃんをみた和樹くんは、
和樹「(みんなヒデェ……)」
と思ったんだとさ。
ちなみに人生の歯車が取れた理由は心優しいナミちゃんが練習後、聞いてあげていました。